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再生医療

再生医療とは

自分自身の細胞を体外で培養し、病気や怪我の治療に役立てる治療法を再生医療(細胞治療)と言います。これまで治療法が存在しなかった病気などに対する新しい治療法として注目され、世界中で研究が行われています。ヒト医療においては、厚生労働省の先進医療に認定されており、すでに大学病院や医療機関などの臨床現場おいて利用が始まっている治療方法でもあります。

再生医療は、本人から採取した細胞を体の外で増やし、生理活性物質や細胞が増えるための足場を加えることで、目的にあった細胞に変化(分化といいます)させた後に、本人に移植することが基本になります。

再生医療のメリット

再生医療のメリットは、従来の治療方法では治りにくかった疾患に対応できることです。特に培養細胞を用いた免疫調整によって、根治は難しくても、症状の緩和を望めるケースもあります。体への負担も少ないことから、症状が進行している場合でも適用できることもあるため、現在多くの獣医師が注目しています。

再生医療で改善が期待できる病気

  • 乾性角結膜炎、慢性腸症などの根治が難しい自己免疫疾患
  • 椎間板ヘルニアなどの神経損傷
  • 関節炎などの消耗性疾患
  • 免疫介在性溶血性貧血などの自己免疫疾患
  • 骨折などの外傷性疾患

当院で行っている再生医療

幹細胞療法

幹細胞療法とは

動物には怪我や病気から身を守るため、自分自身で怪我や病気を修復する自己治癒能力が備わっています。体にはこのような自己修復を日常的に行っている細胞が存在し「幹細胞」と呼ばれています。幹細胞を体外で増やし、体内に戻してあげることで自己治癒能力を上げ失われた臓器や怪我の再生を行なう治療法です。

幹細胞は、骨髄・胎盤・脂肪などに含まれています。その中でも皮下脂肪には幹細胞が多く採取も簡単で培養をしても容易に増えるため、動物医療では「脂肪幹細胞」が広く治療に使われています。

幹細胞の主な働き

骨、筋肉、神経、血管などに分化

幹細胞はあらゆる器官や臓器に変化(分化)することで損傷部位を補ったり、組織を修復する物質を出すことで本来持っている治癒能力を向上させます。

抗炎症・組織修復作用

幹細胞には、炎症・損傷を起こした部位に集まるという性質があり、治癒が必要とされる部位に集まって炎症鎮静や組織修復をおこないます。

免疫バランスの調節

人・犬・猫の免疫機能は、お互いに作用を強めたり制御したりして上手にバランスをとっています。しかし、一度そのバランスが崩れると自己免疫疾患などの病気を引き起こしてしまいます。幹細胞はその崩れてしまった免疫バランスを調節し、正常な状態に導きます。

当院の治療について

当院では脂肪幹細胞療法(ADSC療法) に対応しています。

脂肪幹細胞療法(ADSC療法)とは

脂肪幹細胞療法(ADSC療法)は、骨折や椎間板ヘルニアの治療効果を高めたり、慢性の腎臓病に効果が期待できたりします。その方法は、皮下脂肪に存在している脂肪幹細胞を採取し、特殊な酵素液で分解・培養。その後、効果的な細胞になるように洗浄して、ワンちゃんやネコちゃんの体内に投与するというものです。

治療の流れ

治療は自家移植と他家移植の2パターンあります。

自家移植(移植対象の犬猫由来の脂肪幹細胞)

移植対象の動物から皮下脂肪を少しだけ採取し、幹細胞を単離、細胞を培養します。2週間かけて細胞の数を増やしてから、細胞を集め、患部への直接の注射や点滴によって体内に投与します。

  • Step01

    細胞採取

  • Step02

    ご来院・健康チェック

他家移植(移植対象ではない犬猫由来の細胞)

移植対象外の健康な動物から事前に細胞を採取、培養し移植対象の動物へ投与します。
※冷凍保存が可能なのですぐに移植することができます。

  • Step01

    細胞採取

  • Step02

    ご来院・健康チェック

がん免疫細胞療法

がん免疫細胞療法とは

人間には生まれつき免疫とよばれる働きが備わっており、体の中に侵入した細菌やウイルスを、体の中から取り除く働きがあります。予防注射もこの原理を応用したものです。予防注射を行って免疫をつけるとウイルスは体の中に入ってこられなくなります(排除されます)。体の免疫は、がんができたり、転移したりすることとも、密接な関係があり、体の免疫力が低下した状態では、がんができやすくなります。

がんは通常、手術や抗癌剤、放射線で取り除こうとするのが一般的ですが、近年はこれとは別に、動物の体に生まれつき備わっている免疫の力を利用したり、免疫の力を強めたりすることで、がんの発症や進展を抑えようとすることが試みられています。手術が受けられない場合や抗がん剤・放射線以外の治療法を考えたいときに、新たながん治療の方法としてこの「がん免疫療法」があります。

がん免疫療法のメリット

副作用がほとんどない

ワンちゃんやネコちゃんのリンパ球を増やして投与するので、拒絶反応が起こりづらい傾向にあります。そのため、高齢でも症状が重くても治療を行うことが可能です。

体への負担が少ない

通常の手術療法や放射線療法などの治療法は、体への負担が大きく、がんの症状が進んでしまうと選択できません。しかし、がん免疫療法は体への負担が少ないので適用可能です。

自覚症状の改善が見込める

がんは重症化すると、痛みや貧血などのつらい自覚症状が現れます。その際に、免疫療法を行えば、がんが残っている状態でも苦痛が緩和されて、通常の生活を送れることがあります。

他の治療との相乗効果が期待できる

がん免疫療法は、化学療法・放射線療法・漢方療法などとも併用することが可能です。通常の手術療法の副作用を抑える効果も期待できます。

当院の治療について

当院では「活性化リンパ球療法」に対応しています。

活性化リンパ球療法とは

血液中にあるがんを攻撃してくれる「リンパ球」を増やして、全身に散らばる「小さながん細胞」を攻撃して、再発と転移を予防します。麻酔の必要がなく、比較的体力のない子でも治療ができます。自分の血液から増やした「リンパ球」で治療をするので、副作用がほとんどありません。

治療の流れ

動物の血液(10-12ml)からリンパ球を回収し、薬剤を加えてリンパ球の活性化・増殖を行ないます。その後、およそ1,000倍に増えたリンパ球を洗浄・回収し、点滴で体内に戻します。

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